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製缶と板金の違い|フレーム物はどちらに頼むべきか
「製缶」と「板金」は、どちらも鉄を加工して形にする仕事です。会社紹介にも両方書かれていることが多く、外注先を探す側からは違いが見えにくい。ただ、形鋼を使ったフレーム物を板金の会社に出すと断られる、ということは実際に起こります。何が違うのか、どちらに頼むべきかを整理します。
結論:扱う板厚と、組み方が違う
ざっくり言えば、板金は薄い板を曲げて箱にする仕事、製缶は厚い材を切って溶接で組む仕事です。境界はグラデーションで、明確な線引きはありません。ただ設備も段取りも違うので、得意分野は分かれます。
| 板金 | 製缶 | |
|---|---|---|
| 主に扱う材料 | 薄い鋼板 | 厚板、形鋼(山形鋼・溝形鋼) |
| 成形の中心 | 曲げ(プレスブレーキ) | 切断と溶接 |
| 主な設備 | タレットパンチプレス、レーザー、ベンダー | アイアンワーカー、大型レーザー、溶接設備 |
| 作るもの | カバー、シャーシ、外板、制御盤の箱 | フレーム、架台、台枠、大型の構造物 |
| 精度の作り方 | 展開と曲げ順で出す | 切断寸法・組立順序・歪み取りで出す |
| 必要な広さ | 比較的コンパクト | 組んだまま置ける広さが要る |
フレーム物はどちらに頼むか
山形鋼や溝形鋼を使うフレーム・架台なら製缶です。理由は3つあります。
1. 形鋼を切る設備が違う
鋼板の切断はレーザーやタレットパンチが主ですが、形鋼はアイアンワーカーのような専用機、あるいは形鋼を切れる大型レーザーが要ります。板金主体の工場には無いことがあります。
2. 精度の作り方が違う
板金は展開図と曲げ順で精度を出します。対して形鋼のフレームは、材料のばらつきを見込んだ切断寸法と組立順序、そして最終の歪み取りで精度を作ります。考え方そのものが違います。
この違いは「形鋼の寸法公差はどこまで動くか」と「溶接歪みが出る仕組み」で詳しく扱っています。
3. 溶接に携わる人数が違う
フレーム物は溶接量が多く、大型になるほど人手も場所も要ります。溶接に携わるメンバーが社内に何人いるか、形鋼の扱いに慣れているかどうかが、そのまま対応力になります。実際に従業員の約半数が溶接に携わり、そのほとんどが形鋼の扱いに慣れているという体制を公開している会社もあります。
「板金屋」と名乗っていても製缶が強い場合がある
ここが外注先探しで厄介な点です。会社の呼び名は歴史的な経緯で付いていることが多く、看板と実態が一致しないことがあります。板金と名乗りながら組織体制は製缶寄り、という会社は珍しくありません。
名前で判断せず、次を確認してください。
実態を見分けるための質問
- 形鋼(山形鋼・溝形鋼)を日常的に扱っているか。得意なサイズは
- 形鋼を切る設備は何か
- 溶接に携わる人数は。全体の何割か
- 組んだまま精度を確認できる広さがあるか
- 最終の歪み取り工程を持っているか
- 過去に作ったフレームの最大寸法は
両方が必要になる場面
実際の製品では、両方の技術が要ることがほとんどです。配電盤の筐体でいえば、フレームは製缶、外板と扉は板金です。だから筐体をまるごと1社に任せたい場合は、両方の設備を持っている会社を探すことになります。
筐体の構成は「キュービクル筐体の構造入門」を参照してください。
まとめ
- 板金は薄板を曲げて箱にする、製缶は厚板・形鋼を切って溶接で組む
- 形鋼を使うフレーム物・架台は製缶
- 形鋼を切る設備、溶接の人数、組んだまま測れる広さが対応力を決める
- 会社の名前と実態は一致しないことがある。設備と体制で判断する
- 配電盤筐体はフレームが製缶、外板と扉が板金。両方要る
よくある質問
- Q. 板厚何mmから製缶ですか?
- A. 明確な境界はありません。会社ごとの設備能力で決まります。板厚だけでなく「曲げて作るのか、切って溶接して組むのか」という作り方で考えるほうが実態に合います。
- Q. 溶接構造物と製缶は同じ意味ですか?
- A. ほぼ重なります。製缶はもともと缶(タンク)を作ることに由来する言葉で、現在は厚板・形鋼を溶接で組む加工全般を指して使われています。
- Q. 図面が板金想定で作られている場合、そのまま製缶に出せますか?
- A. 出せますが、作り方が変われば適した形状も変わります。曲げ前提の展開図をそのまま形鋼で組もうとすると無理が出ることがあるので、早い段階で製作側に見せて相談してください。
- Q. 1社にまとめたほうがよいですか?
- A. 精度が要る組み合わせなら、1社にまとめたほうが有利です。フレームと外板を別々に作ると、合わせ面の責任範囲が曖昧になり、建て付けの調整先が無くなります。