お役立ち情報

加工技術

キュービクル筐体の構造入門|アングルフレーム+外板+チャンネルベース

キュービクル筐体の構造入門|アングルフレーム+外板+チャンネルベース

キュービクル(高圧受電設備)の外側の箱を筐体と呼びます。中身の機器に目が行きがちですが、筐体の精度が悪いと扉が閉まらず、盤を並べれば全長が合いません。筐体が何でできていて、どこの精度が最終的に何に効くのかを、製作側の視点から整理します。

結論:フレーム・外板・ベースの3つ

キュービクルの筐体は、大きく3つの部分でできています。山形鋼で組んだフレーム、面をふさぐ外板と扉、そして下に敷くチャンネルベースです。それぞれが受け持つ精度が違い、どれか1つが崩れると他では吸収できません。

キュービクル筐体の構成図。山形鋼で組んだフレーム、外板と扉、チャンネルベースの3つからなり、それぞれ対角と角度、建て付け、据え付け基準面を受け持つことを示した図。
図1 3つの構成と、それぞれが受け持つ精度。

1. フレーム(山形鋼)

筐体の骨格です。等辺山形鋼を溶接して六面体の枠を組みます。配電盤筐体では L-65×65×6 が主力サイズで、大型の枠では不等辺の L-100×75×7 なども使われます。

ここで作り込むのは外形寸法と穴ピッチだけではありません。角度と対角が要点です。外形が図面どおりでも対角が狂っていれば、枠は平行四辺形に倒れています。倒れた枠には、次の外板がまっすぐ付きません。

山形鋼の選び方は「山形鋼(アングル)とは」を参照してください。

2. 外板と扉

フレームに鋼板を張って面をふさぎます。扉は蝶番で吊るので、フレームの精度がそのまま建て付けに出ます

建て付けの不具合は、たいていフレーム側が原因

  • 扉が閉まりきらない、または片側だけ当たる → 枠の対角が狂っている
  • 扉と外板の隙間が上下で違う → 枠が倒れている
  • パッキンが均等に潰れない → 取り付け面の平面度が出ていない

屋外用のキュービクルでは、扉の隙間がそのまま防水性能に効きます。パッキンを均等に潰すには、扉と枠の当たり面が平行でなければなりません。扉側を調整して合わせることもできますが、限界があります。

3. チャンネルベース(溝形鋼)

筐体の下に敷き、荷重を受けて床との基準面をつくります。溝形鋼を使い、125×65 や 150×75 あたりが主力です。

ベースの役割は支えることだけではありません。据え付けの基準がここで決まります。ベースが傾けば、その上に載る枠はすべて傾く。ベースがねじれていれば、枠の対角も引きずられます。

ベースの考え方は「溝形鋼(チャンネル)とは」で詳しく扱っています。

どこの精度が、何に効くのか

部位作り込む精度崩れると出る症状
フレーム外形・穴ピッチ・角度・対角扉の建て付け不良、列盤時の全長ずれ
取り付け面平面度外板の浮き、パッキンの片当たり
連結穴穴位置(面間の距離)盤同士が連結できない、無理に締めて歪む
ベース平面度・直線度・アンカー穴位置据え付けでガタつく、全体が傾く

とくに列盤にする場合は、単体の精度が出ていても足りません。W800 の盤を10面つなげば全長は 8,000mm になり、単体公差がそのまま累積します。実際に10面列盤 8,000mm で全長 ±2mm に収めている例では、切断精度・穴位置・組立順序・最終の歪み取りという4工程で誤差を吸収しています。

累積の仕組みは「列盤で全長が合わない原因」を参照してください。

屋外用と屋内用の違い

屋外用屋内用
扉まわりパッキンで防水。隙間の均一さが効く防水要求は低い
屋根水勾配・水切りが要る平らでよいことが多い
表面処理焼付け塗装が主。部位により溶融亜鉛めっき焼付け塗装
寸法の例6,500×2,500×2,000 のような大型もある設置スペースに制約されやすい

表面処理に溶融亜鉛めっきを使う場合は、穴が塞がる問題と、浴の熱で寸法が動く可能性を見込んでおく必要があります。

まとめ

  • 筐体はフレーム(山形鋼)・外板と扉・チャンネルベース(溝形鋼)の3つ
  • フレームは外形と穴だけでなく、角度と対角まで作り込む部分
  • 扉の建て付け不良は、たいていフレームの対角が原因
  • ベースは荷重を受けるだけでなく、据え付けの基準面をつくる
  • 列盤にすると単体公差が累積する。単体精度と列盤精度は別物
  • 屋外用は扉の隙間の均一さが防水性能に直結する

よくある質問

Q. 筐体だけを外注できますか?
A. できます。配電盤メーカーが機器の組み込みを行い、筐体だけを製缶会社に発注する形は一般的です。連結方法や搭載機器の重量を伝えておくと、フレームの設計に反映されます。
Q. 図面はどこまで用意すればよいですか?
A. 外形寸法と扉の割り、連結の方法、アンカー位置があれば見積は出ます。列盤にするかどうかと面数は必ず添えてください。単体図だけでは累積を見込めません。
Q. 1台だけの特殊寸法でも作れますか?
A. 会社によります。形鋼のフレームを日常的に扱っている製缶メーカーなら、1個からの製作に対応しているところがあります。
Q. 分割して搬入したい場合は?
A. 分割位置と接合方法を先に決めます。分割枠として製作した事例もあるので、搬入経路の制約は早い段階で伝えてください。