お役立ち情報

加工技術

山形鋼(アングル)とは|等辺・不等辺の違いとJISサイズ表の読み方

山形鋼(アングル)とは|等辺・不等辺の違いとJISサイズ表の読み方

山形鋼は、断面がL字の形鋼です。「アングル」とも呼ばれ、配電盤の筐体や架台のフレーム材として最もよく使われます。ただ、いざ発注するとなると「L-65×65×6 の数字は何を指すのか」「等辺と不等辺はどう使い分けるのか」で迷いがちです。JIS G 3192 の表記の読み方から、実務で選ぶときの勘所までを整理します。

結論:表記は「辺A × 辺B × 板厚t」

山形鋼の呼び方は L-A×B×t です。L-65×65×6 なら、辺の長さが 65mm と 65mm、板厚が 6mm。単位はすべて mm です。A と B が同じなら等辺山形鋼、違えば不等辺山形鋼と呼びます。

等辺山形鋼と不等辺山形鋼の断面図。どちらも辺A×辺B×板厚tで表記し、等辺はA=B、不等辺はA>Bであることを示した図。
図1 断面の見方。板厚 t は2つの辺で共通。

なお表記の順番は会社や図面によって「6×65×65」のように板厚を先に書くこともあります。数字の大小で判断できることが多いですが、迷ったら発注先に確認してください。

等辺と不等辺の使い分け

等辺山形鋼不等辺山形鋼
断面A = BA > B
主な使いどころ枠組み全般。四方から同じように力が掛かる部位片方向に強度が要る部位、取り付け面を広く取りたい部位
入手性サイズも在庫も豊富等辺より種類が少ない
配電盤での例L-65×65×6(筐体フレームの主力)L-100×75×7(大型枠)

迷ったらまず等辺です。不等辺を選ぶのは「広い面で他部材を受けたい」「片側だけ荷重が掛かる」といった理由があるときで、単に強度が欲しいだけなら等辺でサイズを上げるほうが調達も楽になります。

サイズと板厚の目安

JIS G 3192 の標準サイズをもとに、フレーム材としての使いどころを整理すると次のようになります。

辺 × 辺板厚 t主な用途
25×25 / 30×30 / 40×403 〜 5小型枠・補強材
45×45 / 50×504 〜 6小型フレーム
60×60 / 65×654 〜 8配電盤筐体の主力(L-65×65×6)
70×70 / 75×75 / 80×806 〜 12中型フレーム・架台
90×90 / 100×1007 〜 13大型枠・チャンネルベース
120×120 / 130×1308 〜 15大型架台・台枠
150×150 / 175×17512 〜 19重量物架台
200×200 / 250×25015 〜 35大型・重量物

不等辺では 90×75 / 100×75 あたりが配電盤筐体でよく出るサイズです。より大きいものでは 125×75、150×90、200×90 などがあります。

実際に対応できるサイズは会社の設備によります。等辺 25×25 から 250×250、不等辺 90×75 から 300×90 まで対応している例のように、対応範囲を公開している会社もあります。

発注するときに効いてくる3点

1. 公称寸法どおりには届かない

JIS G 3192 は辺の長さに許容差を認めています。50mm 以上 100mm 未満なら ±2.0mm。さらに直角度も辺B の 2.5% まで振れます。L-65×65 なら約1.6mm です。フレームの精度を出すには、この前提で切断寸法と組立順序を決める必要があります。

詳しくは「形鋼の寸法公差はどこまで動くか」を参照してください。

2. 定尺と切材のどちらで買うか

形鋼は定尺(決まった長さ)で流通します。長尺の定尺材を買って社内で切る場合と、あらかじめ切られた切材を買う場合があります。定尺から社内で切ると、材料の実測を踏まえて切断寸法を決められるので、精度を出しやすくなります。少量なら切材のほうが安く済むこともあります。

3. 板厚は強度だけで決めない

板厚は強度に効きますが、同時に溶接の入熱量と歪みにも効きます。厚くすれば剛性は上がる一方、溶接量が増えて歪みも増えます。また重量とコストも上がります。「とりあえず厚め」ではなく、必要な剛性から決めるほうが結果的に安く仕上がります。

まとめ

  • 表記は L-A×B×t。A = B なら等辺、A > B なら不等辺
  • 迷ったら等辺。不等辺は「広い取り付け面が要る」「片側に荷重が掛かる」ときに選ぶ
  • 配電盤筐体の主力は L-65×65×6。大型枠では L-100×75×7 なども使われる
  • JIS の許容差があるので、公称寸法どおりの材は届かない
  • 定尺から社内で切れる会社は、材料の実測を踏まえた切断ができる
  • 板厚は強度だけでなく、溶接歪み・重量・コストにも効く

よくある質問

Q. 「アングル」と「山形鋼」は同じものですか?
A. 同じです。JIS の名称が山形鋼で、現場では英語由来のアングルと呼ばれます。断面がL字なので L-65×65×6 のように L を頭に付けて書きます。
Q. 表にないサイズは作れませんか?
A. 標準サイズ以外は流通量が少なく、納期と価格が変わります。板を曲げてL字を作る(曲げ加工品で代替する)方法もあるので、必要な断面性能を伝えて相談してください。
Q. SUSやアルミの山形鋼もありますか?
A. あります。ただし鉄に比べて流通するサイズが限られ、価格も上がります。溶接の条件も変わるので、材質を変える場合は早い段階で伝えてください。
Q. 断面性能はどこで調べればよいですか?
A. JIS G 3192 に断面二次モーメント・断面係数・単位質量が載っています。鋼材メーカーや商社が公開している規格表でも確認できます。