仕事の源泉は「楽しさ」。
高い技術力も美しい職場づくりも
「楽しい」ことから生まれる。

株式会社石井金型 プラスチック射出成形金型の設計・製作

石井正樹

都道府県
愛知県
事業内容
プラスチック射出成形金型の設計・製作
会社名
株式会社石井金型
代表者名
石井正樹
所在地

〒483-8339

江南市飛高町

電話番号
0587-52-5658
ホームページ

https://ishiikanagata.co.jp/

Factory Stories

設立直後も営業なしで案件獲得

株式会社石井金型は、プラスチック射出成形金型を製造する会社だ。
石井正樹が1998年に設立して以降、短納期の依頼や小ロットの対応、複雑な形状の製作など、お客様からの難しいオーダーに応え続けてきた。
実は、石井金型を設立した当初から、柔軟な対応力と高い技術力に定評があり、営業活動をしなくても仕事の依頼が来ていたという。
「私はずっと金型業界なんですよ。独立前にいくつか勤めていた会社はすべて金型屋でした」
独立前から金型業界で確かな信頼を確立していたからこそ、独立を知ったお客様が石井に金型製造の依頼をしたのである。
そんな高い信頼を得られた秘訣を尋ねると、石井は「多分、話しやすいからじゃないですか?」と答えた。

モノづくりが好きだからこそ生まれた話しやすさ

「子どもの頃はプラモデルが好きでした。今考えるとその頃からモノづくりが好きだったんですね」
そうして工学部の大学に入り、たまたまアルバイトに行った先が金型屋だったという。
そこで金型製造の楽しさに魅了された石井は、アルバイトからそのまま正社員になったのだ。
「何もないところから形のあるものを作り出していくことが、創造的で面白かったんです。それに金型がなければプラスチック製品は生まれない。つまり金型はモノを生み出す原点だと言えるんです」
金型屋のアルバイトのときから、石井の金型製造に対する想いは変わっていない。
お客様の要望を受けてそれを立体にしていくことが楽しくて仕方がないのだ。
自分は楽しいことをやっているのに、それで給料をもらえることが面白かったですね。自分の中では働いているというより、楽しいことをしているという感じなんです」
お客様から相談される『仕事の話』は、石井にとっては『楽しい話』なのだ。だからこそ、お客様のどんな相談も喜んで聞くことができる。
これがお客様にとって石井が話しやすい相手になれた理由だ。

難しいオーダーは喜びに昇華する

石井は根っからモノづくりが好きなのだ。
若い頃から材料や製品のカタログを1ページ目から読んでいるという。
どんな形状のものがあるのかインプットしているのだ。これは「やらなければ」という義務感で学んでいるのではない。どんな形のモノがあるのかを知ることが楽しいのである。
「難しい形状の依頼があっても、頭の中にイメージのストックがあるので参照できるんですよ。このやり方ならできるかな? というインスピレーションを元に、頭の中で立体にイメージするんです」
大量のストックがあるからこそ、どんなに難しい形状であっても頭の中で立体をイメージすることができるという。
「難しいオーダーのものをつくり上げられるとうれしいじゃないですか。自己満足ですよ。でもそれでお客様も喜ぶ。そうすると自分もうれしいんです」
難しいオーダーに挑戦することは石井にとって辛いことではないのだ。
アイデアを試して実現していくことで技術力を高め、モノづくりの喜びを感じることができる。その上お客様に喜んでもらえる。石井にとっては喜びしかないのだ。

難しいオーダーは進化のきっかけ

難しいオーダーの中には、形状面だけでなく価格面のものもある。
通常の見積もり額よりも低い予算で依頼されるような場合だ。
「人件費や材料費などどうしても下げられない部分はありますが、どうすれば利益を出せるかを考えて請けられるようにします」
そのためにおこなっているのが効率化だ。
「例えば、10時間で仕上げると利益がゼロになるなら、8時間で仕上げられれば2時間分の利益が出ます。それなら2時間短縮するためにどうしたらいいのかを考えるんです」
効率の良い手順や段取り、機械の操作方法などを工夫して積み上げ、効率化していくことで利益を出せる仕組みに組み替えていく。
そうして仕組み自体が変化すると、従来の業務で出る利益も上がるのだ。
どのような難しいオーダーであっても、ただ断るのではなく可能な方法を探す。
石井にとって、難しいオーダーとは進化するためのきっかけなのではないだろうか。

美しい職場の秘訣も「楽しい」

石井金型の工場はとにかくきれいだ。
道具や材料が整頓されていて、床にも油汚れがない。
「年末の大掃除って楽しくないですよね。汚い空間で日中を過ごすのも楽しくないですよね。油が落ちたら、そのときにそこだけきれいにすれば、明日もきれいな空間で過ごせます。毎日きれいなら大掃除もしなくていいから楽ですよね」
物品が乱雑に置かれていると、それを探す時間は苦痛だ。どこにあるのかわかっていればその苦痛を感じることなく仕事に集中することができる。
床がきれいならば、滑って怪我をするリスクも軽減される。
石井が美しい職場づくりをしているのは、嫌なことをせず、楽しく働ける環境をつくるためなのだ。それが業務の効率化につながり、コストカットになる。
さらに対外的な影響もあるという。
工場見学に来たお客さんが、きれいな工場で素晴らしいと言うんです。そしてこんなきれいな工場で作る金型ならいい物だろうと思ってくれるんですよ
石井の源泉にある「楽しい」という想いはあらゆる面で良い影響を生んでいるのだ。

失敗をさせる人材育成

石井の持つ「楽しい」精神を従業員に伝えていくことは難しいのではないだろうか。
人はそれぞれ生まれ育った環境も学歴も国籍も違います。だから私の想いを会社なんだからと押しつけても受け入れられないと思うんです」
そこで石井が勧めているのは『失敗』だ。
教えられたことをやるだけではなく、自分で考え、失敗して、それを修正していくことで力を付けていくのだ。
「教えられて失敗すると人のせいにしてしまいます。自分で考えて失敗すると、どうして失敗したのか考えて、次に生かすことができます
こうして自ら力を付けていくと、やりきることや成功することに楽しさを感じられるようになるのだ。
「いくら失敗しようが技術を向上させたいという志が大事なんです」
そうしてつくり上げた製品がお客様に喜ばれれば、大きな達成感を得られてモノづくりへの向き合い方も変わる。そうするとさらにモノづくりが楽しくなるのだ。

それぞれの得意を生かすグループ企業へ

石井金型では射出成形機を導入した。
外注していた試作を自社で行うことにより、時間や人件費などのコストをカットでき、納期短縮も可能になるからだ。
また、金型製造をする社員が射出成形をすることで、お客様の気持ちがわかり、よりよい金型にするためのフィードバックが可能になる
また、営業部門も立ち上げた。
「この先、石井金型はこのまま金型製造を行い、成形部門と営業部門は別会社として独立させたいと思っています」
石井金型の規模を大きくするのではなく、グループ企業にして独立採算させることで、社員がそれぞれの得意を生かし、自由に楽しく働ける環境を生み出そうというのだ。
「楽しい」を源泉にする社員たちは、きっともっと大きな楽しさを生み出してくれるだろう。