強みはネットワーク。
協力会社と連携することでデザインも設計も金型も組立も、
プラスチック射出成形に関連するすべての業務に対応できる。
株式会社ハンバック プラスチック射出成形、組立、検査
水谷 國夫
- 都道府県
- 岐阜県
- 事業内容
- プラスチック射出成形、組立、検査
- 会社名
- 株式会社ハンバック
- 代表者名
- 水谷 國夫
- 所在地
-
〒501-6023
各務原市川島小網町
- 電話番号
- 0586-82-8891
- ホームページ
Factory Stories
ハンバックとは
プラスチック射出成形・組立等の製造事業と植栽メンテナンス事業の2つの事業を展開しているハンバックは、創業2014年のまだ若い会社だ。
そして、プラスチック射出成形工場については、2022年10月に稼働をはじめたばかりである。
それでも、2024年8月には24時間稼働の製造予定が立つほど勢いにのっている。
そんなハンバックは水谷國夫が会社在職中に設立した。
前職の会社はパチンコ台のデザイン設計から加工、組み立て、納品までを一貫して請け負っており、水谷はそこで営業をしていた。
「営業と言っても、受注・発注先の選定・品質・購買などすべてやっていました」
その会社で役員を務めていたとき、当時の社長からグループ会社の立ち上げを打診されたことがハンバックのはじまりだった。
前職の会社の倒産
ハンバックは工場を持たずに協力会社に外注して製品を納めるファブレス企業として運営していた。
ところが、ハンバック設立から5年ほど経った頃、水谷が勤めていた会社、つまりハンバックの前身ともいえる会社が倒産してしまった。
ハンバックも仕事のほとんどを失い、新しい仕事を探さなければいけなくなったのだ。
「私も内装工事の現場に入ったり解体の手伝いをしたり、とにかく色々な仕事をしました」
そして、元々おこなっていたパチンコ関連と全く別の事業を模索する中ではじめたのが植栽メンテナンス事業だ。
1年半ほど必死で新しい形を模索して、パチンコ関連の業務も植栽メンテナンス事業も軌道に乗せることができた。
しかし、パチンコ関連の業務はとても仕事の波が大きい。経営を安定させるためには、パチンコ関連だけに依存しない形を探さなければいけなかったのだ。
ピンチから一転して工場の稼働へ
自社工場の運営をはじめるために、春日井市で準備を進めている途中で問題が発生し立ち消えになってしまった。
「工場を借りて進める予定だったのが白紙になったんです。そんなときに事業再構築補助金にチャレンジしました。ダメだろうと思いつつもトライしたら補助金が通ったんです」
この補助金により、岐阜で工場を購入して射出成形をスタートする目処が立ったのだ。
工場に導入する機械を購入する段階でも良い縁があった。
ある企業の社長が手放す予定の機械を3台安く譲ってくれたのだ。
さらに、その機械で射出成形をおこなっていた自動車部品の仕事も回してくれたという。
「パチンコ業界以外の成形の仕事をはじめられたことが大きな転機になりました」
それからコツコツと取引先を増やし、2024年8月には工場をフル稼働させる目処が立つまでになったのだ。
製造実績が少ない中でも選ばれる理由
「実績がないので技術力などで選んでいただけているわけではありません。おそらく私がこれからどんな会社にしていきたいという想いを伝えているからではないでしょうか」
水谷の想いは企業理念にも表れている。
『従業員の幸せの追求とお客様のより良い営みに貢献する』
まず従業員の幸せがあり、その先にお客様があるという順番が大切だと水谷はいう。
従業員の幸せには様々な面がある。そのひとつが仕事をする環境の整備だ。
ハンバックの工場はエアコンを完備している。
「スポットクーラーや扇風機の工場が多いと思いますが、夏の暑い中、汗だくで作業をして品質が守れるとは思いません」
従業員が快適な環境で仕事をすることで、お客様に良い品を提供できるという考えの基、様々な取り組みをおこなっているのだ。
「従業員には製造をやったことのないパートタイムの方やベトナムで日本語を学んだ職務経験のない研修生もいます。それでも、稼働後1年間大きなトラブルはありません」
そのために、新しい従業員が入ったら不良率が下がるまでW検査を徹底しているという。
製造経験のない従業員に対してしっかりとフォローする体制を作っているのも、従業員が安心して働ける環境のひとつだろう。
「コストがかかっているように見えるかもしれませんが、ある意味ではコスト削減だと思っています。不具合やトラブルが起きたらコスト以上のものを失ってしまいますからね」
水谷は目先の利益を追うのではなく、長い目で見た利益を考えているのだ。
従業員の幸せを念頭に置いた姿勢は、モノづくりに対する姿勢にもあらわれる。
そんなハンバックだからこそ、お客様は期待を抱くのかもしれない。
ハンバックの強みはネットワーク
ハンバックは創業からファブレス企業として運営してきた。
「私自身、「できない」ではなく「どうしたらできるか」を考えるタイプです。そして、すべてをひとりでこなそうとは考えません。これまでに築いてきた相談できるブレーンが多くいることが当社の本当の強みだと思っています」
自社工場では射出成形をおこなっているが、協力業者と連携することでデザインも設計も金型も組立も、成形に関連するすべての業務に対応できるのだ。
「成形の経験が10年以上ある従業員も入ったので成形の技術も向上しています。しかし、技術力を会社としての強みというつもりはありません」
ハンバックだけではなく協力会社を含めた連携を生かせることこそがハンバックの強みなのだ。
将来の目標
水谷はハンバックの今後についても従業員の幸せを前提に考えているという。
従業員がハンバックに入ってよかった、ずっと働きたいと思えるような環境を整えたいと考えている。
「今の事業規模では従業員の幸せには足りないので、まずは規模を大きくしていこうと思っています。ただ、大きくなれば良いということでもないので、従業員と対話をしながら最も良い環境を作っていきます」
同時に、ファブレス企業として関係を築いてきた協力会社も、より良い状況につなげていきたいと考えている。
そのために構想しているのはハンバックがメーカーになることだ。
メーカーになることでこれまでに築いてきたネットワークの強みを存分に生かすことができる。
メーカーとして製品化したいアイデアをすでにいくつか温めている。
メーカーになろうと考えるとき、自社の技術を生かす方向で検討することが一般的だろう。
だが水谷は多くのブレーン、多くの協力会社と仕事をしてきたため、成形にこだわることなく自由に発想することができるのだ。
ハンバックがこれから先、どんな新しいものを生み出していくか楽しみにしたい。