環境にやさしい粉体塗料の普及に向けて、塗装機器の開発から塗装設備の設置工事まで。
目指すのは工業塗装の総合サービス。

川口化成品株式会社 工業用塗料販売及び塗装設備設置工事

川口 洋平

都道府県
愛知県
事業内容
工業用塗料販売及び塗装設備設置工事
会社名
川口化成品株式会社
代表者名
川口 洋平
所在地

〒460-0016

名古屋市中区橘二丁目1番12号橘AKビル4階

電話番号
052-331-6186
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Factory Stories

川口化成品のルーツ

川口化成品の創業は明治34年。120年以上の歴史をもつ老舗企業だ。
4代目社長の川口洋平の曾祖父・浅次郎が川口商店の屋号で創業した。当時は主に塗料絵具や工業用薬品を販売していたという。
時代の変化とともに取扱う商品を変化させ、戦後は工業塗料を主に取り扱い現在に至っている。

洋平が川口化成品を継いだのは2008年、39歳のときだった。奇しくも父が会社を継いだのと同じ年齢だったという。
「会社を継いだ2008年は過去最高の売上を記録しました。しかし、その翌年はリーマンショックの影響で売上が半分ほどに落ち込みました。連続の赤字が続いて生きた心地がしませんでしたよ」
長い歴史を持つ川口化成品では、幾度も苦しい状況に直面したことだろう。洋平は社長に就任した直後に苦境に立ち、それを見事に乗り越えてきたのだ。

川口化成品の特長

塗装材料を取り扱っている業者は多数あるが、建築塗料を主体としていたり、建築塗料と工業塗料の双方を取り扱っている業者が多い。
一方、川口化成品は工業塗料を専門としている。だからこそ国内外のメーカーの工業塗料を幅広く取り揃え、お客様のニーズに迅速に応えることができる

また、溶剤塗料と粉体塗料の双方を取り扱っており、溶剤塗料を保管する危険物倉庫と粉体塗料を保管する粉体倉庫を設けている。
粉体塗料は熱に弱く、高温になるとブロッキングしてしまうことがある。そのため空調設備の整った粉体塗料専用の倉庫を建てたのだ。

さらに、粉体塗装機やスプレーガンなど塗装用機器の販売もおこなっている。それに留まらず機械器具設置工事業や塗装工事業の許可も取得し、塗装設備の設置工事も請け負っている。
川口化成品は、塗料を販売する流通業者ではなく、工業塗装に関するあらゆる対応をおこなう総合サービス業なのだ。

粉体塗料の可能性

川口化成品では粉体塗料専用倉庫を建設するほど粉体塗料に力を入れている。
日本の塗料生産量は年間約160万トンで、そのうち粉体塗料は約3万トンだ。300社ほどある塗料メーカーの中で、粉体塗料を製造しているメーカーは10社ほどしかない。
日本において粉体塗料の普及は進んでいないが、川口化成品での売上割合は溶剤塗料7割、粉体塗料3割程度だという。
このことから日本の粉体塗料において川口化成品は大きな存在感を示しているといえる。

「日本での粉体塗料の生産量は3万トンですが、イタリアでは10万トン生産しているそうです。単純な比較はできませんが、海外で粉体塗料の利用が増えているので、日本においても大きな伸びしろがあると考えています」
海外では環境への意識が高いこともあり、溶剤を使用しない粉体塗料の普及が進んでいる。日本でもVOC(揮発性有機化合物)の削減目標が掲げられているため、今後は粉末塗料への注目度が増していくだろう。
これまで日本であまり普及しなかった大きな理由は、粉体塗装のメリットがデメリットを越えられなかったからだ。
粉体塗装は薄く塗ることができないため、使用できる製品が限られていた。また粉体塗装独特の肌面がきれいな仕上がりを好む日本では採用されづらかったのだ。
しかし、それらのデメリットも『IPD微粒化粉体塗装制御システム』によって克服されている。

IPD微粒化粉体塗装制御システム

粉体塗装をする際に起こるデメリットを解決するため、川口化成品オリジナルの商品『IPD微粒化粉体塗装制御システム』を開発した。
IPD微粒化粉体塗装制御システムは、塗膜のラウンド肌、スピット、模様粉体の模様が揃わないなどといったトラブルを解決できる。
「仕組みとしては論文で発表されています。しかし検証ができなくては意味が無いので試作機を作ってテストをして実用化しました」
粉体塗料を微粒化し、塗料を定量供給することによって、均一でムラの無い粉体塗装が実現できる。
これにより、塗装不良が減少するだけでなく、塗料の使用量も節約することができるのだ。

粉体塗装による大きなメリット

粉体塗装は、溶剤を使わない塗装なので、余剰塗料を回収して利用できる。環境にやさしいだけでなくコストも削減できるのだ。
ある企業では粉体塗料を使用していたが、俗に『額縁現象』と呼ばれる塗装不良で悩んでいた。塗料メーカーに要望を出していたが、塗料の改善だけでは不良を減らすことは難しかった。そこで川口化成品のIPD微粒化粉体塗装制御システムを導入した。すると額縁減少が起きづらくなり、不良率が大幅に減少した。

IPD微粒化粉体塗装制御システムの成果を、不良品を減らすことができた企業はもとより、粉体塗料メーカーも喜んでいるという。
また、別の企業では、IPD微粒化粉体塗装制御システムによる粉体塗装をすることで、塗装のばらつきが改善され、塗料ブツが減少したことで塗装の品質が向上した。さらに、使用する粉体塗料が約23%減少し、コストダウンさせることもができた。
材料価格の高騰と円安で製造業は苦しい局面を迎えている。

「こんな時代だからこそ、継続的なコストダウンできる粉体塗料への切り替えを視野に入れてもらえるのでないかと考えています」
洋平は逆境ともいえる世界情勢をチャンスと捉え、粉体塗装のメリットを伝えていきたいと語った。

当たり前のことを当たり前に

川口化成品は様々な逆境を乗り越えて、120年以上に渡ってお客様に支持され続けている。お客様に選ばれる理由や川口化成品の強みを尋ねると、洋平は「当たり前のことを、当たり前にやっているだけです」と答えた。

川口化成品では自社でトラックを5台保有しており、愛知・岐阜・三重の川口化成品から半径50キロ圏内は自社配送をおこなっている。
路線便による配送では、塗料を店頭渡しにするケースが多い。自社配送だからこそ、お客様の塗料倉庫まで塗料を届けることができる。
特に高温に弱い粉体塗料の場合、倉庫まで配送してもらえるのは非常に助かるだろう。
危険物倉庫、粉体倉庫を複数保有し、多様な種類の塗料を十分にストックしていることと、自社配送により、お客様の生産量の変更など急な要望にも柔軟に対応できる。

さらに、お客様とのつながりを大切にして工業塗装に関する情報提供も積極的におこなっている。
「物を右から左に流す仕事ではなく、工業塗装に関するサービス業を目指しています」
川口化成品の『当たり前』は、当たり前にやることが難しいレベルのサービスの提供なのだ。

粉体塗装の普及を目指して

SDGsの2030年までの国際目標のひとつとして、VOCの削減が提案されている。
建築塗装においては水性化などが進んでいるものの、工業塗装においてはまだあまり進んでいないといわれている。
「地球の環境のためにも、私たちでできることはお手伝いしていきたいと思っています」
そんな想いから、川口化成品では粉体塗装のデメリットを軽減し、メリットを伝える活動をおこなっているのだ。

川口化成品の挑戦は塗料の焼き付け炉にも及んでいる。
粉体塗料は溶剤塗料よりも焼き付けに高い温度が必要になる。そのためCO2の排出量が多くなってしまうのだ。このデメリットを軽減するため、川口化成品では、高温かつ短い時間で焼き付けができる炉の提案している。
塗料を販売するだけでなく、あらゆる角度からより良い提案をおこなっていくことが川口化成品の姿勢だ。