有限会社羽田野鉄工

有限会社羽田野鉄工

技術力のスーパーマンはいない。全員が『職人』ではなく『プロ』の仕事でお客様のご要望に120%で応える。 羽田野 祐司

地域

東海 愛知県  

産業

工作機械  

分野

部品製造 機構部品

条件

企業情報

  • 会社名
    有限会社羽田野鉄工
  • 代表者名
    羽田野 祐司
  • 住所
    〒4540932  名古屋市中川区中島新町4-2107 MAPを表示
  • 事業内容
    製品加工
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羽田野鉄工の二代目



工作機や建機などの部品の旋盤加工を請け負う羽田野鉄工。
現在は、羽田野祐司が創業した父親の跡を継いで会社を牽引している。
「僕は中学生の頃から旋盤師だったんですよ」
旋盤加工が身近にあり、お小遣い稼ぎで加工業務をおこなうことは、祐司にとっては当たり前のことだった。

また、好きな数学の中でも特に幾何学が好きで、図面を読んだり、角度や公差を計算したりすることが楽しかった。
廃材のフレームを貰ってきて自転車を作ったり、加工に必要な刃物が無ければそれも自分で作ったこともある。
手先が器用だったのだ。

この仕事が天職だと思えるような少年時代を過ごした祐司だったが、羽田野鉄工に入社したときはこの仕事を好きではなかったそうだ。
「前職の技術研究所の仕事の方がかっこよかったですからね」
それでも羽田野鉄工で働いていたのは、当時熱中していたバスケットボール中心の生活をするのに都合が良かったからだという。


やるからには勝つ!目指すはコンビニ



  • 祐司が仕事に力を入れはじめたのは10年ほど前からだ。
    「バスケは思う存分やったので、今度は仕事を思いっきりやろうと思ったんです。そしてやるからには勝ちたいって思うんですよね」

    意識を切り替えた祐司は、スポーツマンとして培った情熱と負けん気で仕事に向き合った。
    10年前に5,000万円だった売上を1億円にする目標を立てたときには、周囲から「無理だ」と言われて笑われたという。だが、祐司は諦めることなく取り組み、4年後には1億円の売上を達成したのだ。

    羽田野鉄工がこのような急成長を実現した背景には『お客様が困ったとき、即時に対応するコンビニのような利便性』を目指したことがある。



羽田野鉄工の強みは『便利』


羽田野鉄工には特殊な加工ができる最新の機械はない。
スーパーマンのような凄腕の突出した技術を持った職人がいるわけでもない。
それでも羽田野鉄工はお客様の要望に応え続け、高い信頼を勝ち取っている。
これは羽田野鉄工がお客様にとって『便利』だからだ。

「便利とは、自分で言うことではなくお客様が感じることです。お客様が当社を便利だと思っていることが伝わってくるくらい便利になろうと思っています」

お客様が望むのは、単価が跳ね上がる特殊な機械加工ではない。
世界でこの人しかできないというような難しい技術でもない。
どうすれば良いかわからず困ったときに、それを解決してくれるアイデアだ。
今すぐ必要なものの対応をすぐにしてくれる対応力だ。

羽田野鉄工にはお客様が求めるそんな『便利』がある。
だから、次もまた羽田野鉄工にお願いしようとリピートが増えていく。


プロと職人さんの違い


「プロと職人さん。似て非なるものと思っています。」
職人が相手にしているのは、仕事や商品、自分自身の想いやプライドだ。
その技術に対して後からお金がついてくる。

一方、プロが相手にしているのはお客様で、そこには常にお金がついてまわる。
「いいものを作ってもお客さまに「ものはいいけどお前の人間性が嫌い」と言われたらアウトです。お客さまが満足して「またお願いします」と気持ち良くお金を支払っていくのがプロの仕事です」

羽田野鉄工が目指すのは『職人』の集団ではなく『プロ』の集団だ。
要望の通りにきっちりと製品を仕上げるのは当然だ。
最初の相談から納品、代金の支払いまで、すべての工程においてお客様に満足してもらえることが『プロ』の仕事だという。


判断の基準は『美学』



そんな祐司が何かを選択するときの判断の基準にしているのが『美学』だ。
それぞれが持つ美学に沿って、最も美しいと考える判断をすれば良いという。
たとえば、真鍮製品の場合は人の手に触れる場所に使われることが多いため、ピカピカに磨き上げる。
自動車部品のような鉄製品ならば、人の手に触れない部分に利用されるため磨き上げる必要はない。
どこにどう使われるものなのかに関係なくピカピカに磨き上げることが『美学』ならば、それを選択すれば良いと祐司はいう。

だが、祐司の『美学』は部品の使われ方やコストなどに想像力を働かせて、そこに一番必要な形を提供することだ。
人の手に触れる真鍮ならば美しさを優先して磨き上げ、自動車内部に使う部品ならばコストを優先して磨き上げることはしない。
「組み込む部品ならば、図面通りに仕上げても他の部品にはまらないことがあります。図面の先にある組み込みまでを想定して、ぴったりとはまる部品の方が美しいですよね」
羽田野鉄工の従業員で共通する『美学』は見た目の美しさだけでも、図面通りに仕上げるだけでもなく、図面の先を想像してつくりあげることにある。


技術力を凌駕するアイデアと対応力


  • 以前は、祐司の頭の中にあるアイデアを形にする方法を従業員に指示していた。
    しかし今は、ヒントは出しても答えは伝えないようにしている。
    そうすることで、従業員は自分の技術とアイデアで製品をつくる方法を考えるのだ。
    「その方法ならできそうだね、と仕事を任せると、ものすごい力を発揮するんです」
    し付けるのではなく、自主性を持って考えるようにしたことで、仕事に対する姿勢や考え方が変化した。

    もしも祐司が少しピントのずれたことを言ったとしても、ただ従うのではなく「これはこっちの方がいいと思います」と提案できるようになったのだ。
    そうした従業員ひとり一人の力を見極め、祐司や工場長が仕事を割り振っていき、ときには分担することでひとつの製品の精度を高めていく。

    ひとり一人が自分で考え、アイデアを出すことができるのが羽田野鉄工の大きな力だ。
    スーパーマンのように突出した技術力を持つ従業員はいなくても、ひとり一人の対応力やアイデアは技術力を凌駕している。
    「お客様の要求に120%答えられるのがベストです。100%はお客様が欲しい製品をつくること。そして20%は提案です」




互いに苦手を補い得意を生かす体制



祐司はかつて、従業員の欠点をできるだけ無くし、全員のレベルを上げようと考えていたという。

だが今は、その人がプロフェッショナルになれそうな点をひとつずつ探し、その部分を徹底的に伸ばすことで本人が気持ち良く、素直に力を発揮できるようにしている。
「Aくんができるんだから君もできるようになれ!ではなく、君が苦手なところはAくんが補ってくれる。Aくんが苦手な部分はBくんができる。君が得意なところはBくんの苦手なところだから、そこを補ってほしい。というようにそれぞれが得意な部分で補い合える体制をつくりました」
2年ほどかけて従業員の意識を変え、ひとり一人が力を発揮しやすい環境をつくったのだ。


従業員が明日も来たいと思える会社


「以前は、ミスをした従業員に「反省しろ」と言っていました。でもそれでは萎縮してしまって、伸びるものも伸びなくなってしまいます」
体制が変化したことでミスが起こったときの対応も変化した。
以前は怯えるように自分は悪くないと主張していたが、今はどうしてミスをしたのか、どうすればミスを防げるのか、このミスはどのように対処すればよいか、などを考えられるようになった。

自ら考え、互いを補う社風に変わったことで、誰かがミスをしたときも周りがどのようにカバーできるか考えて行動できるようになった。
自分の仕事に自信と責任が持てることでプロ意識が芽生える。
プロとして自分の仕事に誇りを持ち、やりがいや達成感を得ることで会社で働くことが楽しくなる。

お客様のご要望に120%応えられるのは、祐司が目指す『従業員が明日も来たいと思える会社』の風土があるからだ。


お客様が困ったとき、最初に声を掛ける会社



「お客さまの困ったに立ち向かおう」
朝のミーティングはスローガンの唱和から始まる。
羽田野鉄工が目指しているのは、お客様が何かで困ったとき、最初に声を掛ける会社になることだ。
そのために、できるだけ具体的に、わかりやすい言葉で、お客様が楽な気持ちになるよう心掛けているという。

「自分が何かを相談するとき、どんな人に相談相手になってもらったら嬉しいのかを考えれば、どう対応するべきかすぐにわかります」
そんな羽田野鉄工だからこそ、旋盤以外のプレスや溶接などであっても「困ったことがあったら羽田野鉄工に相談しよう」という気持ちになるのだ。
羽田野鉄工の業務範囲以外の相談であっても、それが対応できそうな会社を紹介する。
こうして『困りごとの相談窓口』になることで仕事が集まってくる。
そして「次も羽田野鉄工に相談しよう」とリピートをしてくれるのだ。

仕事が増えていけば従業員の生活が豊かになる。
生活が豊かになることで仕事がたのしくなる。
仕事が楽しくなれば、より高いプロ意識でお客様に満足度の高い仕事を提供できる。
羽田野鉄工には円を描きながらさらに高い場所へとのぼる螺旋階段のような良い流れが生まれている。

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