美しい曲線を生み出す曲げ加工の技術。
挑戦を続けて積み重ねた経験とものづくりの真心で信頼を築き上げる。

株式会社中央技研 アルミ曲げ加工(R曲げ加工)専門

小島正寛

都道府県
愛知県
事業内容
アルミ曲げ加工(R曲げ加工)専門
会社名
株式会社中央技研
代表者名
小島正寛
所在地

〒455-0801

名古屋市港区小碓1丁目67番地

電話番号
052-383-8864
ホームページ

https://www.r-chuuou.com/

Factory Stories

22歳の若さで一家を背負って創業

株式会社中央技研はアルミ材の曲げ加工を専門に、建築材料や工業製品、鉄道、自動車、遊具など様々な分野の全国のお客様から高い信頼を得ている。
中央技研が創業したのは1989年。小島正寛は22歳という若さだった。
元々は正寛の父親が勤めていた工場を引き継ぐ形で独立する予定だった。ところが独立を前にして体調を崩して思うように働けなくなったことで正寛がこの仕事をすることになったのだ。

 

その当時の正寛はファブリック製品の卸会社で営業の仕事をしていた。
異業種から金属加工の世界に飛び込むことには大きな勇気と決断が必要だった。
「父が仕事をする様子は見ていたので雰囲気は知っていましたが、機械を触ったことがなかったのでためらいもありました。それでも家族を支えていくために他の選択肢はありませんでした。」

アルミニウムの加工からスタート

正寛は父親から加工の基本を学びながらアルミニウム材の加工をはじめた。
穴あけや切断、組み立てなど様々な加工のひとつに曲げ加工もあった。
中央技研が創業した当時は、アルミニウムが建材として利用されはじめ、アルミ建材の需要が伸びている時期だった。そして建物のデザインが多様化し、曲線を取り入れたデザインが流行しはじめたのだ。

 

そうしてデザインの曲線を実現するためにアルミ建材の曲げ加工の依頼が増加したのである。
お客様のご要望に応えながら少しずつ曲げの機械を増やしていった。
「アルミニウムの曲げ加工ができるところは少ないんです。増加する曲げ加工の依頼に対応していくために曲げ加工専門にシフトしました」

より精度を高めるための挑戦

建材を中心にアルミ材の曲げ加工が増えていくと、他の分野からの依頼も増えていった。
その中で大きな転機となったのは鉄道関係の加工だった。
「建材は精度の基準がそんなに厳しくありません。職人が現場で調整して組み付けられるからですね。しかし自動車や鉄道などではとても高い精度が求められます」

 

コンマ1単位の精度が求められ、20本加工をしても3本しか合格しなかったこともあった。
「最初は本当に大変でしたが、より高い精度を出すために試行錯誤したことで、精密な曲げ加工の技術を培うことができました」

アルミ材の曲げ加工で精度を高める難しさ

アルミ材の曲げ加工の難しさは材料の硬さが1本ずつ違うことだという。
硬さが違えば、同じ圧力をかけても仕上がりが違ってきてしまう。
「しかも1本の材料の右端と真ん中、左端でも硬さが違うんです」
そのため、一度圧力をかけて曲げたものにゲージを当てて曲がり具合をチェックし、状態に応じて再度必要な圧力をかけていくのだ。

 

しかも一度加工した材料は硬さが変化する。それも加味した上でどこにどれくらい圧力をかけるか判断しなければいけない。
的確な判断ができるようになるためには経験を積むしかない。
中央技研では簡単な加工からはじめ、経験を積みながらステップアップしていくようにしている。それでもアルミ材の曲げ加工を完全にマスターするまでは十年以上かかるのだ。

ものづくりの醍醐味は挑戦の先にある喜び

異業種からものづくりの世界に飛び込み、高い評価を受けられるようになった のは、挑戦を繰り返してきたからだ。
やったことのないものでも「できる方法を考えよう!」と挑戦してきた
夢の中に出てくるくらい考えて、ようやくできたときに感じる喜びはものづくりの醍醐味だと思います」
その喜びを知っているからこそ、どんなに難しい依頼にも前向きに挑戦し続けることができたのだ。

 

さらにお客様に喜んでいただける喜び、苦労して製造したものが世に出て利用されているのを見られる喜びも感じられる。
そんなものづくりの喜びを社員にも感じてもらえるよう、お客様からメールや電話でいただいた喜びの言葉を社員に共有しているという。
「お客様から頂いたお褒めの言葉は自分たちの誇りになります。社員も喜んでいますよ」

蓄積した経験により広がる業務

ひとくちに曲げ加工といっても、アルミ材の形状などによって曲がり具合や捻じれ、潰れの度合いが異なる。
中央技研では様々な業界・分野の曲げ加工をおこなってきたからこそ、多くの分野の加工知識が蓄積されている。

 

豊富な知識と経験はお客様に安心感を与えることができる。同時にお客様から相談をされたときに的確な回答やアドバイスができるのだ。
そんな実績を評価され、まだ図面もできていないような開発段階から製作に参加することもあるという。

品質を支えるのは『ものづくりの真心』

「中央技研の品質を生み出すのは、ものづくりの真心なんです」
ものづくりでは製品の合格ラインを満たすことは当然だ。
ただし合格ラインを満たしている場合でもグレーゾーンはある。
たとえば合格基準は満たしているけれど少しバリがあるようなグレーゾーンを見逃すのか手を加えるのかで品質が変わるという。
「作り直せば時間も費用もかかります。それでも使う人のことを考えて対応するのが『ものづくりの真心』なのだと思います」

 

ある程度で妥協することを続けていれば、本来の品質基準も落ちてしまうかもしれないと正寛は危惧している。
逆にグレーゾーンにもしっかりと向き合うことで、「次はこうならないようにどうすればいいか」を考え、実行することで品質向上につながるのだ。
中央技研に根付く『ものづくりの真心』は製品の品質だけでなくお客様からの信頼も生み出しているのだろう。

世界に向けてさらなる飛躍

中央技研の経営理念の中には『世界中に曲線の美しさを広めよう!』という言葉が入っている。
この言葉通り、中央技研では世界に向けて曲げ加工の技術を提供していくことを考えている。
現在も海外からの依頼を受けて曲げ加工をおこなっているが、その販路をさらに拡大していきたいという。
「新興国がこれから成長していく中で、必要とされる当社の技術が必ずあると思っています」

 

同時に懸念しているのは日本のものづくりの評価だ。
かつて、世界から高い評価を受けていた日本のものづくりは、少しずつ低迷してきている。このままでは日本のものづくりの品質に対する信頼が失われてしまう可能性もあるかもしれない。
「僕ひとりの力でどうにかできることではありませんが、ものづくりをしている人たちと力を合わせて立ち向かっていくことができたらいいなと思います」
中央技研の美しい曲げの技術は世界に誇れる技術だ。その技術を研ぎ澄まし、これからも「ものづくりの真心」をもって日本の技術を世界に示してくれるのではないだろうか。