チャレンジ精神と協働が築いた信頼。
クレーン・エレベーターのメンテナンスに留まらず製品の開発も。

株式会社AKI クレーンやエレベーターなどのメンテナンス事業

平田 明彦

都道府県
愛知県
事業内容
クレーンやエレベーターなどのメンテナンス事業
会社名
株式会社AKI
代表者名
平田 明彦
所在地

〒493-0006

一宮市木曽川町内割田字南出416番地の3

電話番号
0586-82-5056
ホームページ

https://aki-tk.co.jp/

Factory Stories

独立のきっかけ

株式会社AKIは、クレーンやエレベーターなどのメンテナンス事業を中心に事業を展開している。
2012年にAKI特殊機械として平田明彦が設立し、2020年に現在の社名に変更した。
明彦は前職で業務用エレベーターや天井クレーンのメーカーで製造・設置工事をしていたが、あるきっかけでメンテナンス業務に異動した。
メンテナンスの視点で見ると、製造では気付かなかった改善点が見えてきたという。

 

「フィードバックすることで改善されていったんですけど、要望のすべてがスムーズに通るわけではありません。だから負担もストレスも増えていきました」
製造からメンテナンスを経験したことにより、お客さまのために何をすべきか何ができるのかを考えた末、独立することを選んだ。
メンテナンスの世界を知り視野が広がったことがきっかけになったのだ。

ゼロからのスタート

製造からメンテナンスまでの経験したことで、クレーンやエレベーターに関する全体を理解できていることはAKIの強みのひとつだ。
そんな強みを持っていても簡単に仕事が得られるわけではない。
明彦はクレーンやエレベーターにこだわらず、機械ならなんでも対応する姿勢で様々な会社に声を掛けた。
最初は他の業者が修理できなかった機械の相談を受けた。機械をバラしてボール盤のシャフトが折れていることを突き止め、交換用の部品をメーカーまで取りに行ってその日のうちに修理を完了させた。
このようなことを繰り返して顧客の信頼を得ていった。

 

その課程で様々なメーカーのエレベーターやクレーンの仕事を請けられたこともプラスになっているという。
メーカーごとの特徴を知ることができ、各メーカーの良いやり方を取り入れることで作業のスピードアップにつながった。
設立当初は修理工事を中心に事業を展開していた。しかし、トラブルが起きたときなどに仕事が発生するため売上が不安定であること、下請け業務だけでは会社の成長が見込めないことなどから、メンテナンス業務を中心の事業に転換した。
現在は、メンテナンス契約をしている取引先が年間100社以上となっている。

お客様に選ばれる理由

AKIがお客様に選ばれるのは、どんな相談も受ける姿勢と実直さではないだろうか。
他の業者が修理を諦めた案件でも引き受け、機械をバラして確認して、修理ができないと判断した場合はそのまま元に戻して料金は受け取らない。
これができるのは「はじめて見る機械でも本質がわかれば直すことができます」と言い切れるほど、技術や知識に自信を持っているからだろう。

 

ただし自社で対応が難しい案件もある。そんなときには横のつながりを駆使して、その対応ができそうな会社を紹介している。
毎月エレベーターの点検をしている会社から、トイレ掃除を外注したいという相談を受けたこともあるそうだ。そのときは清掃業をはじめた知り合いの会社を紹介した。
「その担当者さんからは『AKIさんなら、頼めば何かつながるんじゃないかと思って声を掛けた』と言われましたよ
頼まれたら断らない姿勢と実力。そして他社と協働する姿勢が、お客様に選ばれる理由なのだろう。

断らない姿勢のルーツ

明彦の両親は石垣島で印刷業を営んでいた。
印刷機が故障して修理業者を呼ぶと出張費がかかるため非常に高額になる。
そのため、機械をバラして故障の原因箇所を特定し、メーカーから部品を取り寄せて自分で修理をするようになった。
こうして幼い頃から機械を自分の目で見て、触って理解していったのだ。

 

レコードで音楽を聴いていても、スピーカーが左右で違う音を出す仕組みが気になってバラして確認したという。
「スピーカーをいじったことで電気関係の基礎ができたと思います」
印刷機械の構造を知ることで機械関係の基礎を、スピーカーの構造を知ることで電気関係の基礎を築いた。
実際にさわりながら部品ひとつひとつの役割を理解していった経験が、はじめての機械でも対応できるという自信につながっている。

トロリの開発

AKIが開発を進めているのがクレーンに設置するトロリだ。
あるメーカーのクレーンは他社メーカーのホイストを取り付けられない。そのために修理費用が高額になるケースがある。
そのメーカーは初期の設置費用を抑えることで顧客を獲得し、自社製品しか取り付けられない構造にすることで修理や部品を継続的に取り引きできるビジネスモデルを展開している。
このメーカーのクレーンでも搭載できるトロリを開発することで、適正な価格でクレーンを提供できる環境にしていきたいと明彦は考えている。
各会社が適正な価格で競うことができる環境は、メーカーが提供する製品の品質向上につながり、お客様には選択の自由が生まれる。
トロリの開発は業界全体を成長させるための一手だ。

ドローン事業

もうひとつのチャレンジがドローン事業だ。
クレーンなどの点検にドローンを使えないかと考えたことがスタートだった。
クレーンの銘板の確認だけでも高所作業車が必要になり、時間も費用もかかってしまう。
一方、ドローンを使えば毎月の点検のコストダウンができる。
すると費用面の問題で点検が難しかったお客様も依頼がしやすくなり、クレーンを安全に運用することができるのだ。

 

そして、AKIでは時間を短縮できるため効率よく業務を回せるようになった。
また、写真に撮って残せるためお客様との修理の相談もしやすくなる。
ドローン点検をさらに充実させるため赤外線建物診断技能師の資格も取得する予定だ。赤外線による温度変化の異常のチェックとドローンを組み合わせることで、メンテナンスの幅がさらに広がるだろう。

チャレンジ精神

「チャレンジして成功すれば一番良いですが、失敗しても良いんです。ダメなのはチャレンジしないことです」
失敗をしたとしても、チャレンジすることで次につながる経験や知識を得られる。それが次のチャレンジにつながる。

 

そんな明彦が目指しているのは総合建築を請け負える会社になることだ。
工場一棟を丸ごと作れる会社になるために、まずは電気系統設備の工事やメンテナンスに取り組む予定だ。そのために電気工事士の採用を進めている。
「これからの日本は電気化が進んでいくでしょう。現在の電気事情から、ソーラーパネルの普及は今後もっと推進されるのではないかと思います」
そうして電気化が進めば電気工事士が不足していく。その前に自社に電気工事の体制を整えようとしている。

 

「総合建築をするためには足りないものだらけです。ただ、すべてを内省化するのではなく、うちが元請けになって、その道のプロに依頼する形も考えています」
明彦がこれまで培ってきた横のつながりが新しいステージでも生きてくる。
チャレンジ精神と協働の姿勢が、これからも新しい道を切り開く原動力になっていく。