変寸を見据えて高精度を実現。
高い技術力を支えるのは緻密なデータと
円滑なコミュニケーション。

  • 株式会社足立熱処理研究所

  • 真空焼入れ、焼き戻し等熱処理全般及びCVDコーティング等の表面処理

足立雅樹

都道府県
愛知県
事業内容
真空焼入れ、焼き戻し等熱処理全般及びCVDコーティング等の表面処理
会社名
株式会社足立熱処理研究所
代表者名
足立 雅樹
所在地

〒485-0803

小牧市高根三丁目339番地

電話番号
0568-79-2541
ホームページ

https://www.adachi-lab.co.jp/

Factory Stories

新社長の下、若い力で新たなステージに向けて

1983年に創業した足立熱処理研究所では、2024年5月に足立雅樹が3代目社長に就任した。

そして新社長の下、新しいステージに向けての進化をはじめている。

そんな足立熱処理研究所の中核を担い、足立と共にこれからの会社を支えていく、入社約15年の営業部の神田圭右と、入社約10年の技術部の宮本大輝が仕事に対する想いや会社の強みなどを語ってくれた。

異分野から熱処理の世界に

神田も宮本も全くの別分野からモノづくりの世界に足を踏み入れた。

宮本はテレビで鋳造を見たことがきっかけだったという。

鉄を熱して叩いて硬くするところを見て、すごくかっこいいと思ったんです。熱処理という分野を知って、それから動画などで調べるようになりました」

宮本は情報科学科でコンピューター関連を学んでいたが、大学3年のとき足立熱処理研究所の求人を見つけて応募したという。

「面接を受けたらその日のうちに採用の連絡をいただいたんです。それでこの会社に行くと決めて大学を中退しました」

一方、神田が入社したのは18歳のときだ。

神田は高校卒業後、調理師としてレストランに勤めたが、上司との折り合いが悪く1か月ほどで退職したという。

そして、足立熱処理研究所の求人情報で『全員で仕事をはじめ、全員で仕事を終わる』という言葉と仲の良さそうな写真を見て応募を決めたのだ。

「仕事内容よりも楽しい職場を重要視していました。ただ、もしかしたら求人の内容はウソかもしれないと疑っているところもありました」

実際に入社をすると求人の言葉にウソはなく、先輩たちが若い神田をかわいがってくれたという。

社内のコミュニケーションが技術を生む

神田が所属する営業部では、プライベートでも飲み会をしたりゴルフをしたりして仲間とコミュニケーションをとっている。

「全員が全員と仲が良いというより、仲の良いグループができている感じです。それぞれコミュニケーションが取れているから、何かあったときに互いに助け合えます

こうした仲の良さは宮本が所属する技術部も同様だ。

特別なルールが設けられているわけではない。
誰かが話をすると、興味を持った仲間が自然に集まってきて話の輪ができる。
そんな関係性を築けているのだ。

「技術部の仕事は個々が別の作業をしていて個人技のような面もあります。でも最終的に目指すところは一緒です。
チームワークが上手くいっているから納品までスムーズに仕事をすることができるんです」

営業の強みはコミュニケーション力と技術力

足立熱処理研究所のコミュニケーション力は営業にも生きている。

「営業では各自が担当コースを持っています。既存のお客様を回ってしっかりとコミュニケーションを取って信頼関係を築いています

各営業が自身の担当する顧客としっかりと向き合いコミュニケーションを取っているのだ。
営業とお客様の関係性は、技術部にいても感じられるという。

「お客様から電話を受けたとき、営業さんがお客様と楽しく会話をされているのが聞こえることがあるんです。電話越しでも伝わってくるくらい、営業さんとお客様との仲が良いんですよ

営業部の持つ強みはコミュニケーション力だけではない。

「営業は、コースを回った後は現場の仕事をしているんです。現場のことをちゃんとわかっているので、お客様からの相談に具体的な提案をすぐに出すことができます」

営業が現場を知っているため、具体的な提案やスピード感のある回答はもとより、自社の技術や品質の強みをより実感を持ってお客様に勧められる。

実感のある言葉はお客様に対してより強い説得力を持つことになるだろう。

CVD法のコーティングに特化

足立熱処理研究所は、お客様から金型を預かり、熱処理やコーティングをおこなっている。大きな特徴はCVD法のコーティングを採用していることだ。

現在主流となっているのは物理的な処理をおこなうPVD法だ。
しかしPVD法は金型の表面に膜を付ける加工なので高い密着強度を出すことができない。

一方CVD法では、1000度ほどの高熱を加えて金型の母材とチタン膜を化学反応させることでコーティングをおこなう。
そのため金型に対する密着強度が高いのだ。

さらにその金型を丁寧に磨いて納品している。
密着強度が高い上に丁寧な磨きで金型の滑りが良いため、お客様から高い評価を得ているのだ。

データを蓄積して精度を高める

CVD法は高熱をかけるため金型にひずみや変寸が起こる。

変寸があるためCVD法が敬遠されるのだが、足立熱処理研究所ではCVD法を採用しながらも高い精度を誇っている。

作業の工程ごとに寸法を測ってデータを取っているんです。ほぼすべてのデータを取って蓄積することで、データを元に寸法の精度を上げることができるんです」

さらに社内のコミュニケーション力が生かされることで安定した品質を実現している。

「データを見て変化の原因がわからないときには相談して原因を探ります。そうして得た情報は他のスタッフにも共有しています」

円滑なコミュニケーションが取れているからこそ、相談や共有を日常的におこなうことができるのだ。
そうして得た結果は営業とも共有され、お客様の困りごとの解決にも生かされていくのである。

引き継いでいくものと変えていくもの

うちの技術はすごいと思っています。だから、まだ当社と関わったことのないお客様に、まずは一度使っていただけるようにしたいです」

神田は営業という立場で、足立熱処理研究所をより多くの方に知ってもらいたいと考えている。
一度使ってもらうことができれば、技術力を感じてもらえる自信があるのだ。

「入社して間もない頃、ひずみが出た工程にかかわった人たちがすぐに確認して調整して直していました。そしてすぐに結果を共有しているのを見て、これがうちの技術なんだと実感したんです。この技術をこれからも引き継いで、多くのお客様に知ってもらいたいと思っています」

時間をかけて築いてきた強みを引き継ぐのと同時に変化も起きている。

これまで寸法のデータなどをすべて紙で保管していたが、図面の管理ソフトなどを導入してDX化を進めているのだ。

これは大学時代に情報科学科を専攻していた宮本が主導で取り組んでいる。

「大量に保管していた書類がなくなって壁が見えるようになったら、壁に絵を飾ってもいいんじゃないかと思っています。汚くてゴチャゴチャしている工場のイメージを払拭して、キレイでおしゃれだよねと言われるようなスマートな工場にしていけたらいいですね」

足立熱処理研究所では、新入社員も増えて若返りをしながら加速度的に成長をしている。

足立熱処理研究所は良い文化や技術を受け継ぎながら、1人1人が一流と成り、命に貢献する組織と成長するために、新しいステージに駆け上がり進化を始めたのである。